それでは、1,000気圧とはどのくらいの圧力なのでしょうか?
ちなみに、調理器具の一つである圧力釜は、2~2.5気圧程度の圧力範囲を利用しています。
普段、私たちが普段生活しているのは1気圧の世界です。水中では、10m潜るごとに、圧力(水圧)が1気圧ずつ上昇します。1気圧は、小指の爪1c㎡(1㎝×1㎝)に1㎏の重りが置かれているくらいの力です。
なお、素潜りの世界記録は、2007年にハーバート・ニッチ(オーストリア)が214mを記録しました。
水深約10,000メートルの地球上で最も深い「マリアナ海溝」の海底は、約1,000気圧です。1,000㎏(1ton)の重りが上下左右、360°の方向から小指の爪に置かれている状態です。
では、この深海の底へ潜ったら、どんなことが起こるのでしょうか?
発砲スチロールに5分間の高圧処理を行った例をみてください。
高い圧力が均等にかかることによって、発砲スチロールは相似形でギュッと縮まりました。4,000気圧の処理ではもうカチカチです。
ここで、空気の体積は、ボイルの法則(PV=一定)に従い、圧力に反比例して小さくなります。すなわち、高圧処理によって、発砲スチロール中の空気が収縮し、外部へ排除されたことにより、発砲スチロールが相似形で小さくなりました。
一方、水の体積は、1,000気圧の圧力でも約3%の容積が圧縮されるにすぎません。高圧処理は、この水が縮みにくい性質を利用して、圧力をかけたい物体を密封容器内に入れ、水で満たして静水圧下で加圧します。
圧力の大きさを表現するには様々な単位がありますが、このページ以降では国際単位系(SI)の「Pa(パスカル)」を用いて表します。
それでは1MPaとはどれくらいの圧力なのでしょうか?
私たちが日頃、大気から受けている圧力は約1気圧(1atm)です。
これを国際単位系(SI)であるPaに換算すると
1 atm = 1.01325×105 Pa
≒ 0.1×106 Pa
となります。
ここで106(1,000,000)を示す接頭辞M(メガ)を用いると
1atm ≒ 0.1MPa
となり、両辺を10倍すれば
1 MPa ≒ 10 atm
となります。
したがって、地球上で最も水圧の高い「マリアナ海溝」の圧力は1,000気圧≒100MPaとなります。
気圧 [atm] |
バール [bar] |
[kgf/cm2] | [psi] | [torr] | 水柱 [mmH2O(JIS)] |
パスカル [Pa] |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1.0132 | 1.03323 | 14.6960 | 760 | 10332.3 | 101324.6 |
9.8692×10-1 | 1 | 1.0197 | 14.5038 | 750.062 | 10197.2 | 100000 |
9.6784×10-1 | 9.8066×10-1 | 1 | 14.2233 | 735.559 | 10000 | 98066.5 |
6.8046×10-2 | 6.8948×10-2 | 7.0307×10-2 | 1 | 51.7149 | 703.070 | 6894.757 |
1.3158×10-3 | 1.3332×10-3 | 1.3595×10-3 | 1.9337×10-2 | 1 | 13.5951 | 133.322 |
9.6784×10-5 | 9.8066×10-5 | 1.0×10-4 | 1.4223×10-3 | 7.3556 10-2 | 1 | 9.80665 |
9.8692×10-6 | 1.0×10-5 | 1.0197×10-5 | 1.4504×10-4 | 7.5006×10-3 | 1.0197×10-1 | 1 |